【感想】 働く男

先日、星野源の『働く男』をよんだ。星野源は『SUN』で初めて彼の歌をちゃんと聞き、『逃げるは恥だが役に立つ』で興味を持った。決してコアなファンではない。

 
この『働く男』は星野源の文筆、音楽、芝居の仕事それぞれにフォーカスし、それらを紹介している。彼の好みや作品制作の裏側などを親しみやすい語り口で語ってくれるので、まるで知人になったように彼の人柄に触れることができる。このように人柄を見てしまうとどうしてもその人に愛着がわいてしまうものだ。
 
彼の趣味や嗜好はそれぞれの仕事についての章でもいろいろ知ることができるのだが、この本には星野源の好きな人やもの、作品などを55個紹介するコーナーもある。星野源が好きだったり影響を受けたりした、例えばミュージシャンや映画、お笑い芸人などが少しの解説とともに並べられているのである。これが彼に興味のある人には非常に面白い。
 
やはり自分が興味のある人の影響を受けた人やものというのは気になるし、自分の趣味を広める機会になるから楽しい。僕も星野源の好きな映画、音楽を聴いてみたいと思った。自分の知らないものが並んでいるのをみてワクワクする。
 
ライターとしての仕事の章では雑誌に連載されていた映画のレビューが載せられている。それほど長いレビューではないのでシンプルなものだが、目の付け所がよく、一つ一つその映画を見たくなるよいレビューである。また自分の生活を映画のテーマと絡ませながらうまく書いているので映画について知るのと同時に彼の生活観や哲学に触れることができる。
 
僕は文章のうまい下手はよくわからないが、それとは関係なく、彼は自分の文章で素直に自分の人間性を出すのが上手だと思う。彼のくだらないものが好きな気持ちや変態性がよくわかるし、それぞれのテーマに対する彼の熱量がそのまま読者に伝わってきているように感じる。しかも偉ぶることなく一人一人のファンと同じ目線から自分語りをしてくれて、親しみもわく。この1冊を読んだだけでだいぶ彼のことを知ることができた気になってしまう。

 

 

働く男 (文春文庫)

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